FUUSHIKAのある暮らし-処暑

セミの合唱に残暑を味わい、日暮れ後は秋の虫が奏でる涼やかな音色。八ヶ岳に訪れた束の間の盛夏は静かに過ぎ行き、秋雨前線がやってきた。寝相が激しい娘には掛布団はあってないようなもので、寝間着に何を着せようかと悩ましい今日この頃である。

2週間に一度、自宅に届くフウシカオーガニックの宅配野菜。箱を開けると、今日は小さなお花が添えられていた。森さんからのメッセージが添えられている時もある。

金曜日の朝に訪れる、ささやかな喜びのひと時。

宅配野菜のラインナップは、四季の移り変わりに呼応して色鮮やかに遷移していく。
一度食べてその美味しさに驚いた、フウシカオーガニックの一押しの真黒(しんくろ)茄子は見事に太り、トマトなんて、はち切れんばかりに実を熟していた。そして今回気になる存在になったのが「ダビデの星」という名の爽やかな黄緑色のオクラ。

私はオクラといえばお浸しだけど、湯がくなんて忍びないと思うほど、肉厚で堀が深い。さてどうやって食べさせていただこうかしら。ここは農家さん直伝が間違いないと信じ、森さんに相談。「お勧めは食感をまるごと味わえるグリル!」とのことだったけど、どうしても断面を見てみたくて厚切りに切る。一緒に届いたUFOズッキーニや真黒茄子と共に油と塩を絡めて、上からパラっとチーズをかけてオーブンに突っ込んでみたら、これが最高に美味しかった。

ぽりぽりとした食感が癖になる相模半白胡瓜は、味噌をちょいと載せてそのまま食べても、ごま油と岩塩にほんの少しお醤油を垂らしても、本当に美味しい。

↑「ダビデの星」の断面は美しい文様。


フウシカの野菜と暮らすようになり、私の料理は以前よりもシンプルなものが増えた気がする。

お日様と雨、風、無数にある命を育み生きる畑。そこに息づく命と共に、作り手に愛され、逞しく育ったフウシカの野菜たちを、まるごと美味しく食べたい。あれこれ調味料を掛け合わせたり、肉の旨みを借りたりしなくても、ほんの少しの味付けだけで、囲む食卓は満たされる。

それは、いわゆる「時短」にも繋がるのだけど、ただ手抜きができて嬉しいな、とは少し違う。森さんから届いた野菜たちを見つめて、「さて、どうやっていただこうか」と思いを巡らせている時が、なんだかとっても豊かで嬉しいのだ。検討の結果、今回もまた塩と油で結構、という結論になって、手が空くことが多いわけだけど(笑)。

持ち味を活かす、ということ。
いのちに感謝と敬意を忘れない、働きができる人でありたいな、と思う。



↑宅配野菜、開封後。紙類はすべて資源に戻す。プラゴミは一つも出ない。

written by Chiaki Nakamori

「2022年8月末 FUUSHIKAorganic宅配野菜 Mサイズ」
・トマト(固定種)メニーナ
・中玉トマト(固定種)フランムトマト
・ミニトマト(固定種)ステラミニ
・茄子(固定種)真黒茄子、イタリアナス
・ピーマン(固定種)カリフォルニアワンダー
・ズッキーニ(固定種)UFOズッキーニ
・キュウリ(神奈川在来種)相模半白胡瓜
・インゲン(固定種)アルプス
・オクラ(固定種)ダビデの星
・ニンジン (交配種)ベターリッチ
・ニンニク

topics:「相模半白胡瓜」
日本の定番キュウリであり固定種である相模半白胡瓜は、色が半分白いのが見た目としての特徴です。青臭さがなく、爽やかなシトラスみたいな甘みと酸味。夏に丸かじり推奨。レモンや柑橘との相性も抜群で、薄めにスライスして塩でさっと揉み、レモンを垂らしかけると、さわやかさアップ。

letter from FUUSHIKAorganic